fbpx

User's Voice

沢山の出会いの重なりで「私」という生き物が見えていく。寺院・自死の活動に関わり、今思うこと

彩さん

Interview応援者さまの声を
お届けいたします

テラエナジーでんきでは、たくさんのユーザーさまが様々な想いを持って応援してくれています。個性豊かなユーザーさまの声をみなさまにお届けいたします。

ライター:藤井 一葉
兵庫生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。若手僧侶グループ・ワカゾーで死をカジュアルに語る場「デスカフェ」を企画。 日本茶を淹れたり本を眺めているとほっとする。仏様のお話をさせていただくことも。

継続した寄付の仕組みで応援する嬉しさ

テラエナジー(以下 TE)
まずはじめに、自己紹介をお願いします。

彩(かさね)さん
広島でお寺の坊守(お寺を住職と共に支える存在・役割)をしています。また、認定NPO法人京都・自死自殺相談センター(以下、Sotto)ひろしまSottoで自死に関するボランティアもしています。

TE
テラエナジーでんきを知ったきっかけは何ですか?

彩さん
Sottoの活動の際に竹本さん(弊社代表)から電力会社のことを聞きました。NPOの代表でもあり、僧侶でもある竹本さんから話を初めて聞いた時は「なんで電力会社?」と驚きました。これまでやってこられた自死のことと仏教が電力会社にどう繋がるのが、よくわからなかったんです。

それでも「寄付つきでんき(電気料金の一部が選んだ団体に寄付される)」のことを聞くうちに、お寺の住職と「電気代はどこかに必ず払わないといけないんだから、Sottoの活動に貢献できるなら良いよね」と話しをして、電気を切り替えることに決めました

TE
切り替えての感想はどうですか?

彩さん
寄付先を応援できている感じがして嬉しいです。それに、必ず払う電気代に寄付がついてくるので、団体としても継続して寄付が集められるのも良い仕組みだと思いました。

最近はクラウドファンディングなども盛んになり、寄付するハードルが下がってきました。それでも、毎回名前や口座を登録するのは面倒です。それが、寄付つきでんきだと、一度登録すれば、継続して寄付することができるので、手間がそんなになくて良いですね。

おすすめの本は『くまとやまねこ』と『みつこととかげ』

TE
寄付先の団体にとって、継続した寄付を集める仕組みはとっても大切ですよね。

彩さん
そうですね。私もSottoに関わらせてもらっているので、活動の経済基盤の事は気になっています。寄付や助成金を頼りとしているので、今後どうなるかわからないよね、とボランティアの間でもよく話題になります。そこをふまえて、自分たちの力でやっていけるように、電力会社を立ち上げて寄付つきでんきという仕組みを作られたと思うので、応援しています。

生きることと死ぬことはどちらか1つでは語れない

TE
僧侶が起業したテラエナジーらしい質問をさせてください。生まれて生きて死んでいくこと、死生観をどんな風に捉えていますか?

彩さん
「死ぬ」ことから離れると「生きる」ことを語れないし、「生きる」ことを語るには「死ぬ」ことがあると感じています。だから、生きることと死ぬことはどちらか1つではない、と思っています。

今から21年前になりますが、人生を26歳で終わりにしようと決めて生きていました。あれから21年が経ち、今は「さて、ここからの人生をどう生きていくべきか」と考えることが多くなりました。そう考えるようになったのは、2018年の夏の広島豪雨災害に遭った経験が大きく影響していると思います。あの夏の出会い、仲間のいのち、それらが私自身の生き方を問い直すきっかけとなりました。

今は「この生き物(私)って何をやって生きていくのだろう。何ができるんだろう」とこの生き物(私)がどう生きていくのかを、少し離れたところからみている様な感覚があります。

TE
彩さん自身が何かから見守られているような感覚を受けました。

彩さん
そうかもしれませんね。生きていると本当に色々とあって「今回はこういうこと学んでね」「今回はこれがあなたのテーマだからね」と、どこからか言われている感じがします。

お寺の風景

つながることで、みえてくる私という存在

彩さん
Sottoや自死に向きあう広島僧侶の会に参加して、多くの人に出会いました。26歳で人生を終わりにしようとしていたあの頃よりも、多くの人に出会い、人とつながっていくことが増えました。あえて、そうしようとつとめてもいます(笑)

つながっていくといろんなことが見えてきます。つながることは、世界が広がるということでもありますが、まずは自分自身を知っていくことになります。これまでの私は自分の殻に閉じこもり、一人で物事を考えていました。一人だけで自分自身と向き合うと、自分のことがよくわかるような気がするのですが、実際は「自分」のことはわかりませんでした。

TE
自分だけの方が、自分のことをよくわかりそうですが……。

彩さん
そういう一面もありますが、他人と関わり、他者との違いを知ることで、より自分が見えてくる気がしました。

言葉の使い方、間の取り方、距離の取り方。みんなと一緒にいればいるほどに自分が見えてきます。

ある研修会で、俵万智さんの詩を教えてもらい、まさに自分が体得してきた感覚が言葉になっている気がしたので紹介させてください。

「つながるつながるつながるなかで わたしはわたしを見つけ出す」 作詞 俵万智『手をのばす』より一部抜粋 

TE
まさに彩さんがご経験された感覚だったんですね。変わっていくきっかけはありましたか?

彩さん
きっかけの1つは「おてランチ」という災害後にはじめた活動でした。代表で料理担当の彼女がいつも明るく太陽みたいな人で、なんでも、思ったらすぐに動ける人なんです。反対に、私は考えすぎなくらい考えないと動けない人で……。

本堂でのおてランチの様子

ある時、彼女が「考えすぎるのは任せる!あなたが考えてくれるから自分は安心して動けるよ」って言ったんです。その時に「そっか!考えすぎる人がいると、安心する人もいるんだな。それなら、考えすぎるのもいいのかな」と思ったんです。そこから、色んな人がいて、それでいいんだと思えるようになりました。

出会いを重ねるなかで、いつの間にか「自分の全てがありのままでいいんだ」と思えるようになってきました。

「生きること、死ぬこと」について真面目に一生懸命、熱く話す人たちとの出会い

TE
楽しそうな企画ですね。Sottoの活動も影響はしていますか?

彩さん
もちろんそうです。私にはSottoの活動がバイブルみたいなものですから。

Sottoに出会い、生きることや死ぬことについて感じるままに話せる仲間ができたことは大きかったと思います。

こういう話は、考えていてもなかなか人と話す機会はないです。Sottoの活動に参加し、死ぬとか、生きるとか、そういうことについて「こんなにも真面目に一生懸命に熱く話す人たちがいるんだ!」ということを知り、驚きました。また、同時にとてもうれしかったのを覚えています。それまでは、ただひとり、ひたひたと小暗い森を歩いているような、出口の見えない真っ暗なトンネルを歩いているようなそんな感じでしたから。

TE
大切なご経験を教えていただきありがとうございました。お聞かせいただいたご経験は、いま暗闇の中にいる人にとって、一筋の光明になると思いました。テラエナジーに期待することはありますか?

彩さん
今、私はSottoでの自死の活動をしたり、浄土真宗本願寺派(西本願寺)の思春期・若者の生きづらさをテーマにした研修を受けていてます。そこで感じるのは、私自身の経験から苦しかった時や悩んでいた時に支援者と繋がっていたら良かったなということです。

苦しい時は、情報に疎くなったり、1人ぼっちになった気がします。そんな時に、支援してくれる人に出会ったり、苦しい時の心理的な変化や向き合い方を教えてもらうだけで、ずいぶんと違ったかもしれません。そうしたことを、かつての自分に教えてあげたいです。

苦しんでいる人がSottoや他の支援団体に簡単につながっていくような仕組みがあればいいですよね。テラエナジーには、そういったつながりづくりをしてもらえるのではないかと期待しています。

ユーザーの声⼀覧に戻る