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休みたい日に休み、連絡も不要!メディアからも注目を浴びる「生きる職場」を実践するパプアニューギニア海産・武藤北斗さん

株式会社パプアニューギニア海産・武藤北斗さん

Interview応援者さまの声を
お届けいたします

テラエナジーでんきでは、たくさんのユーザーさまが様々な想いを持って応援してくれています。個性豊かなユーザーさまの声をみなさまにお届けいたします。

ライター:藤井 一葉
兵庫生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。若手僧侶グループ・ワカゾーで死をカジュアルに語る場「デスカフェ」を企画。 日本茶を淹れたり本を眺めているとほっとする。仏様のお話をさせていただくことも。TERA Energyでは、メルマガも担当。

自分たちが納得して使える電力会社を選びたい

テラエナジー(以下 TE)
まずはじめに、自己紹介をお願いできますか?

武藤さん
大阪で天然エビ一筋の工場「パプアニューギニア海産」の工場長(現、代表取締役)をしています。3児の父でもあります。

TE
テラエナジーでんきを知ったきっかけは何だったんでしょう?

武藤さん
経営する「株式会社パプアニューギニア海産」の移転に伴い、電力を切り替えたいと探し始めました。2011年に宮城県から大阪の市場に移転した時は、市場の中だったこともあり自由に電気が選べませんでした。しかし、新しい工場を立て、自分たちで電気料金を払うことになったので、自分たちが納得して使える電力会社を選びたいと思っていました。

工場の壁に描かれたエビを型どったロゴがかわいい

ところが、自分ではどこの電力会社がいいのかわからなかったので「どこか良い電気会社知ってますか?」とFacebookで友人たちに聞いてみました。そうしたら、ぼくの大好きな友人たちが「テラエナジーでんき」を薦めてくれました。

自分でも会社のウェブサイトを見ていると、自死のNPOを立ち上げた人が始めた電力会社だと知り、驚いたと同時により魅力を感じました。

また、電気を通じてNPO団体等に継続的に支援ができること(ほっと資産)も知りました。こんな仕組み、今までの電力会社ではなかったことなので「すごい!」思いましたね。

TE
ほっと資産団体「反核ロックフェス 大マグロック」のご登録もいただいていますが、会社の切り替えがきっかけだったのですね。

武藤さん
そうなんです。電力を切り替えようとした当初は、まさか自分たちの取り組み(反核ロックフェス 大マグロック)を寄付先として登録させてもらえるとは思っていなかったです。

大マグロックは、マグロで有名な青森県大間に原発が作られようとしていることへの反対運動、いわゆる反核の活動です。原発建設を何とか止めたいと、2008年から原発敷地内(現在は隣接地)で反核ロックフェスをしてきました。

同じように、世界でも原発の建設が中止になって事例もあり、ドイツでは、その跡地が遊園地になっています。大間も原発予定地を別のものに転用することで、全く反対の意味でのエネルギーを象徴する地域になる可能性があると思います。大間は本当に自然が豊かで、原発など気にせずに、みなさんにも訪れてほしい土地なんです。

※寄付先「大マグロック」のインタビューも近日公開予定!

最終目的は電気を売る事ではなく、目指す社会の実現。だから魅力を感じる

TE
テラエナジーの起業のきっかけが、創業メンバーの取り組んできた自死の活動の経済基盤をつくることだった、というのは珍しいですよね。

反核ロックフェス 大マグロックの様子

武藤さん
そう!!だから余計に、いいな!と思いました。電力会社に限らず、これまでの枠組みでの会社の設立とは違う気がしました。

そこには、私が目指している社会と同じようなところをみている感じがありました。電気を売ることが目的ではなく、目指す社会の実現のためのツールが「電気」なんだと思いました。他にも再生可能エネルギーや反原発の電力会社はいっぱいあるけど、そういう面でテラエナジーに切り替えようと思いました。

みんなが苦しまず、居場所のある社会をつくろうとしている。あまり大げさなことではなく、毎日をしっかりと過ごしていける社会の実現。けど、今の社会ではそれができていないとずっと感じていました。

私自身、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、会社の働き方改革「生きる職場・人を縛らない職場」として「出勤・退勤時間は自由(フリースケジュール)」「嫌いな作業はやらなくてよい」など従業員が自分の生活を大事にできるような、これまでの会社の経営では非常識ともいえることをしてきました。

TE
「出勤・退勤時間は自由(フリースケジュール)」「嫌いな作業はやってはいけない」を実行されていることを初めてお聞きしたときは、とても驚きました。

食品表示を子どもが見てもわかるようにする。シンプルと手作業にこだわるエビ工場の挑戦

武藤さん
これまでにない取り組みなので、メディアにも多く取り上げてもらっています。パプアニューギニア海産は、30年ほど前に父が創業しました。今は、大阪府摂津市にある工場でエビフライ、むきえび、殻付きエビ等を生産しています。

とにかくシンプルに、食品表示を子どもが見てもわかるようにしたいと思い、薬品・添加物を使わず、手作業にこだわっています。エビフライも卵を使わず、加工です。

価格も適正な価格で売っています。「安ければ良い」というのは、もう終わりにしたいのです。それを続けていると、結果的にゴミが増えたり、人を駒のように使ってしまうことにつながります。卸(おろし)での価格も統一しています。たくさん買ってくれたら、安くなるという割引をしていません。それやっちゃうと、沢山買える大きなお店が強くなってしまうのです。

他の会社でも同じようにエビやエビの加工品にこだわって販売しているところもあり、そうした会社のエビですと味もパプアニューギニア海産とそんなに変わらないかもしれません。しかし、パプアニューギニア海産で扱う意味や過程は他社とは全く違います。

TE
エビを仕入れるところから、作る、売るところまで全工程へのこだわりが感じられます。東日本大震災をきっかに、働き方を考え直されたと言われていましたが、それまでは違ったのでしょうか?

武藤さん
それまでは、宮城県の工場で工場長ではなく、事務の社員として新商品の企画や従業員の管理の仕事をしていました。当時、僕は従業員を管理し、ビデオカメラを設置して監視していたこともありました。そういった仕事のやり方に違和感はありましたが、この方法が一番効率的で合理的なやり方と思っていました。

休みたい日に休み、休みの連絡は禁止

TE
それが、東日本大震災をきっかけに変わったのですね。武藤さんの働き方の姿勢を変えたアイデアはどこから生まれたのでしょうか?

武藤さん
一つは、2011年7月のブログで「避難しているママさん一緒に働きませんか?」という求人を出したことでした。自分たちも含め、震災後に宮城や福島から避難してきた人たちの中には、孤立して居場所のない方など色んな状況の方がいました。その時に、子育てをされているお母さんたちが働けるように、いつでも休める会社が働きやすいだろうと、フリースケジュールで採用することを始めました。

そしてさらに大きな転機が訪れました。宮城から一緒にきた工場長が退職することになってしまったのです。そこで働き方を改めて見直すために、パートさんの面談をとことん繰り返した結果、いつでも休みたい日に休んでもらい、休みの報告の連絡も禁止にするという、アイディアが生まれたのです。経営としてフリースケジュールを採用すると、離職率の低下や商品品質の向上にも結果的にはつながったのです。

それまで会社の役割は、会社をいかに経営するかが最優先で、それを支えるのが従業員でした。それが、今では従業員が気持ちよく働ける職場「生きる職場」が大事だと感じています。嫌いなこと、不得意なことをやらないこと、従業員同士での争いをしないように職場を整えていくために、フリースケジュール以外にも色々試しています。

TE
ホワイトボードに体調の良し悪しを○☓で書くことや、色んなルールを従業員の方とみんなで考えてトライ&エラーを一緒に経験されることを、ご著書から知りました。この本はぜひ、多くの人に読んでいただきたいです!(詳細『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』)

より良く死ぬためにより良く生きる

森達也さんに影響を受け、彼の価値観が共感できたという武藤さん。本棚には森さんの著作も

TE
僧侶が起業したテラエナジーらしい質問をさせてください。生まれて生きて死んでいくこと、死生観をどんな風に捉えていますか?

武藤さん
生と死ですか……。
どう生きるかよりも、どう死ぬか、を考えています。より良く死ぬためにより良く生きる。それを考え始めてこの働き方につながっています。

死ぬ瞬間に後悔しない。「よしっ」と思いながら死にたいという感じでしょうか。そこにいきつくには生きている間に、相当がんばらないといけないですよね。今だと、まだ駄目だなと思います。けど、正直に言いますと、そこまできれいに心の状態が出来上がって生ききれるのかな、と疑問も浮かびます。

それに、死んだらどうなるかを考えるのは怖いですね。今、この考えている気持ちや心が無くなるのは、怖くて、逃げたくなる感覚もあります。みんな、怖くないのかな?気になりますね!!

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