生駒駅からほど近い場所、ビルの1階に「まほうのだがしや チロル堂」はあります。
子どもたちは店に入るとガチャガチャの機械に100円を入れて、出てきたチロル札(1枚100円相当)で駄菓子を買います。時にチロル札が2枚や3枚出てくるため、100円以上の価値となることがあります。
さらに、そのチロル札1枚で子どもたちは通常500円の価値があるカレーを食べることができたり、300円のポテトフライを食べることができたりします。
このガチャガチャから出てきたチロル札にまほうがかかっていて、そのまほうのおかげで子どもたちは安心してここで食事をすることができます。
さらに駄菓子屋の奥は自由に使えるスペースになっていて、おもちゃや絵本が並びます。そのスペースでは子どもたちが宿題をしたり、本を読んだり、ゲームをしたり…と、思い思いに過ごします。
ここは学校でも家でもなく、子どもたちだけで気軽に立ち寄れて、親でも先生でもない大人たちがいる場所で自分らしく、自由に振る舞える場所になっています。
日本では、子どもの約7人に1人が貧困状態にあるといわれています。
そんな子ども達や保護者に、無料や安価で栄養のある食事や団欒を提供する「子ども食堂」が全国的に広がってはいるものの、孤独や貧困に苦しむ子ども達が利用しやすい場所なのかという疑問を感じていました。知らない人に「困っている」「お腹がすいた」と助けを求めることを恥ずかしく思う子や、いつどこで子ども食堂が開かれているのか調べられない子もいるはずだからです。
この問題を解決するために、「困っている子ども達の居場所」といった直接的・限定的な表現ではなく、どんな子ども達も集まりたくなる目的を別につくり、支援が必要な子ども達が気軽に利用しやすい場所にすること。
さらに活動を持続させるためには、行政等からの補助金等ではなく、子ども達を想う大人たちの想いが寄附という形で寄せられる仕組みが必要だと考え、現在のチロル堂の形が組み立てられていきました。
また、寄附は活動への入り口という思いもあります。困っている子を見たら「チロル堂に行ったらいいよ」と言うことではなく、自分に何ができるかを考えられる大人が増えることが大事だと思っています。
子どもの居場所が地域にあることが大事で、その居場所を地域の大人が支えていく仕組みをセットでチロル堂は大事にしていきたいのです。そのことがどうしたら設置できるかの取り組みを考えています。