fbpx

Introduce

性の悩みや傷つきを抱え込む社会ではなく、すぐに相談できる社会へ

一般社団法人ソウレッジ 

Activity活動内容

性被害や妊娠不安にまつわる課題に取り組んでいます。
性教育の最初の一歩として、性教育の教材/製品を配布、講演会等、性に関する知識を届けていく活動と、緊急避妊薬という切り口から情報を発信しています。

ソウレッジの教材/製品は「性教育したいけどきっかけをつくるのが難しい」「楽しく性教育をしたいけど、どうしたらいいのかなぁ…」という、性教育をしたい人の「こまった」を解決するためにつくられました。

性に関する興味はふくらんでいく一方、根拠のない性情報が溢れる環境で、自分のココロとカラダをまもるための知識をえる機会はほとんどありません。

そんな気持ちに寄りそいながら「性教育のハードル」を少しでも下げるお手伝いをしています。

また、性知識があったとしても、お金がなくて避妊薬や避妊具を購入できずに思いがけない妊娠をする若者がいます。

妊娠をしないための最後の砦となる緊急避妊薬は、「1錠2万円程度」と中高生には手を出せない価格です。

しかし緊急避妊薬を飲むということは、人生を自分で選択するという勇気ある行為であり、その後押しをし、処方のきっかけに性知識と福祉につなげる活動をソウレッジでは行なっています。

Interview性教育は「強く優しい」状態に連れていってくれる 性暴力の予防をめざして

鶴田七瀬さん
一般社団法人ソウレッジ 代表

2018年日本で性教育を行うNPO法人でインターン後、文科省トビタテ留学ジャパン日本代表として、性教育を積極的に行う国の教育・医療・福祉などの施設を30箇所以上訪問。2019年、帰国後に性や妊娠にまつわる課題解決のためソウレッジを創業。2020年、フローレンスなどのNPOが共同運営する子ども宅食などと連携し、性教育教材の寄付を実施。2021年、Forbes 30 under 30 2022「日本発、世界を変える30歳未満の30人」受賞。2022年には、CAMPFIRE 寄付型クラウドファンデイングで緊急避妊薬の無償化と性知識を届ける仕組みを作るために2363人から21,823,388円を集めた。1995年生まれ静岡県掛川市出身。

「ソウレッジ」は性被害や妊娠不安にまつわる課題に取り組む一般社団法人です。性教育の教材を配布したり、講演会を行ったりして性にかんする知識を届けていくという活動と、緊急避妊薬という切り口から知識を届けていく形で性教育の最初の一歩を届けるという2つの活動を行っています。
ソウレッジの設立には代表の鶴田七瀬さんの原体験が深く関わっていました。今回、鶴田さんにお話をお伺いしました。

ライター:黒木 萌
宮崎県延岡市生まれ、在住。大学卒業後、企業で総務、人事・勤労業務を経験。通信制高校サポート校での勤務を経験。文章を読むことと書くことが好きで、本に関するイベントを多数企画。最近の癒しは絵を描く(特に色を塗る)こと。好きな色は青で、春の海が好き。今年から始めた畑にほぼ毎日通っている。

記事のすべてを見る

子どもの頃からずっとジェンダーロールへの違和感を持ち続けてきた

TE
性教育自体には、いつ頃から興味があったのでしょうか。

鶴田さん
起業前、たとえば、男性は黒いランドセルで女性は赤いランドセルという区別に違和感がありました。そういう「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」というジェンダーロールに対して、多くの人は違和感を「なくされてきた」んだと思うんですけど、私は幼稚園くらいの頃から変わらずずっと持っていました。

うちの中学校では傘の色も男女で分かれていたんです。校則で決まっていたわけではないんですけど、みんな何となく雰囲気でそうしていました。生徒会長も毎年男性でした。大学のサークルも代表は男性で、なんだか女の人はサポート役のような、あんまり出しゃばらない雰囲気に違和感がありました。

その延長線上に「女性はおしとやかであるべき」とか「男性は強くあるべき」という固定概念があって、その結果性的同意が得られなかったり、対等ではない関係で性行為が無理やり行われたりという実情があると思っています。

いわゆる性教育・性被害などに関心を持ち始めたのは大学2年生ごろで、身近でそういう話を聞くようになってからです。あとは「#MeToo」がちょうど盛んになってきた時期だったので、それもあったと思います。

北欧に留学 日常の中で当たり前に性の会話があった

TE
その後に北欧に留学して、性教育を学ばれたんですか。

鶴田さん
そうですね。起業したいという思いはすでにあったのですが、その前に日本の性教育と海外の性教育を知ってから始めたいという気持ちがありました。

TE
北欧を選んだ理由はなんですか。

鶴田さん
そのころから「北欧の性教育は日本より何十年も進んでいる」という内容の記事や本がたくさん出ていたので「実際どうなんだろう」と思って、行ってみようと決めたんです。教育のカリキュラム自体もそうですけど、私はもっと日常の中にあふれているような価値観や文化だったり、日常の中に落とし込まれている制度などを知りたいと思って行きました。

違いを感じたのは、早い年齢のうちに性に関する話をすることにあまり抵抗感がないことです。たとえば生理の話で、日本でも子育てをしていると、子どもと母親が一緒にお風呂に入ったときなどに子どもから「何この赤いの」と聞かれることがあると思うんですけど、そのタイミングではあまり話さなかったり、「生理だよこれは」と表面だけ言って終わりだとかがよくあると思うんです。

北欧では、そのタイミングで全部説明することに両親の抵抗感があまりない感じでした。それは一例に過ぎないですけど、そんな感じで「年齢が若い・早いから隠しておこう」ということはないです。

TE
割と日常で話題にされる回数が多いんですね。

鶴田さん
そうですね。日本だと教育現場でも1年に1回するかどうかじゃないですか。家庭でも一生に1回するかどうかの頻度だと思うんです。

北欧ではもっと当たり前に、たとえば生理が来るたびに「つらい」という話をして、つらいときはどうするのか、ピルを飲むとか、ミレーナを入れるとか、海外だとシールを貼るだけで生理が調整できるものがあるんですけど、それを使うという話も当たり前にします。

オランダやデンマークでは、中高生になってパートナーができると、「避妊してるの?」「どういう避妊方法がいいかな」「お金はどうする?」などを隠さずに話すのが特徴的だと思います。

フィンランドなどでは、あまり親とは性の話をしたくない感じで、代わりに学校でカリキュラムがきちんとあります。避妊具の使い方も教えるし、たとえば妊娠した人の体調がどういうふうに変化していくのかということを学ぶ機会があったり、どういうふうにサポートできるのかを考えたり、そういう部分も全部含めて性教育でした。
それだけではなくたとえばセクシュアリティだったり、フィンランドは同性婚もできるのでそのことだったり、同性婚をしたらどうやって子供をもらうのかなどそういう話もありました。

海外の生活も日本とそんなに変わらないけれど、日常の中で当たり前に性の会話がされているような状態ではあったと思います。友達と体調の話をするような感じです。「最近体調どう?」「いいよー」という。困っているから普通に話すんです。「困っているけど、性の話だからためらう」とかはないです。

「自分も性被害の当事者だった」と気づいた 性暴力の予防としての性教育を

TE
団体を始めたきっかけを教えてください。

鶴田さん
ソウレッジを立ち上げる2年前ぐらいから、あからさまな性暴力被害が身近で起きたんです。親友が性被害を受けて、性暴力を身近に感じるようになり、情報収集のアンテナを高くしていったんですけど、知識を得ていく中で性暴力とはいわゆる強姦やレイプのようなものだけではないと感じたんです。

たとえば痴漢は知らない人から体を触られることだけれど、それだけでなく、友人から本当は触られたくないのに体を触られたり、望んでいないのに性行為を流れですることになったり、自分が疲弊したり傷ついたりするようなことで、相手が知り合いでも知り合いでなくても、友人でも恋人でも「性暴力」と呼ぶんだというふうに認識の範囲が広がっていきました。

そうしたら自分も過去に性暴力を受けていたことがあったと気づいたんですね。「性暴力が身近なものだ」とそれまでも感じてはいたものの、そう気づいたことで自分も性被害の当事者だったという認識に変わっていきました。

それは社会の中で性暴力や性の知識が不足していることの課題が「自分事」になったタイミングだったと思います。今も活動を続けている理由としては、知れば知るほど「自分も被害者だった」ことに気づいていったからです。

TE
性教育をメインでされている方よりも、被害者や心の傷を受けた方のケアに力を入れている方とお会いする機会が多いのですが、鶴田さんが性暴力への関心から性教育に力を入れていった過程について教えてください。

鶴田さん
私にとっては性暴力と性教育は遠いものではないです。教育現場で知識が不足しているほかに、教えられる人がいなかったり、先生が被害者の生徒から相談されてもサポートの方法がわからなかったりということはたくさんあります。実際にそれがセカンドレイプなど新たな性被害に繋がっていたりもします。

たとえば虫歯の治療を何回もしたくはないじゃないですか。できれば歯磨きをし続けて歯をケアして、あんまり虫歯の治療に行かなくていいようにしたい。そういう意味で、性暴力の予防としての性教育、というふうに考えています。

セクシャリティーに関わらず妊娠で課題を抱える可能性のある人、みんなが使えるサービスにしたい

TE
ソウレッジでは、どういう思いを大事にして活動していますか。

鶴田さん
ソウレッジの中で「自分はトランスジェンダーだ」と打ち明けてくれた人がいたんです。Xジェンダー、男性でありたいわけではないけれど女性でいるのは嫌だ、というジェンダーアイデンティティを持っている人です。

妊娠不安を感じた人のためのLINEの文章を作るチームに入っていた人なんですけど、その人の視点をすごくありがたく感じています。ソウレッジとしては、性自認が女性の人だけをサポートしたいわけではなくて、妊娠不安を感じる可能性のある人みんなを包括してサポートしたいんですよね。

私たちとしてはその人が自分をどんな性自認だと思っていたとしても来れるような、頼れるようなサービスにしたいと思っています。

TE
以前は違いましたか?

鶴田さん
けっこう私は「女性」と言っちゃうんですよ。「妊娠不安を抱えた女性」と。「女性支援をしている団体です」というキーワードをけっこう使っちゃうんですけど、それをやめようと本気で思うようになったのは、メンバーからの「トランスジェンダーで妊娠する人もいるよね」という言葉でした。

わかってはいたけれど、それが当事者化されてなかったです。でもメンバーがそうやって話をしてくれて以来、セクシャリティーに関わらず妊娠で課題を抱える可能性のある人、みんなが使えるようになってほしいということは大事にしています。

「女性という言葉を使ってほしい」という批判もよく来るんですけど、ソウレッジとしては「女性」というキーワードではうまくセグメントができない、女性でもう生理がない・終わってしまった方もいますし、子宮がない方もいます。そういう方は妊娠不安を感じることはないわけじゃないですか。妊娠できない不安を感じることはあるかもしれないんですが。

女性というのは「妊娠するかしないかに関わらず女性というアイデンティティを持った人たち」ということになってしまう。私たちが今支援しようとしている「妊娠が原因でトラブルを抱える」という分野に関しては、それは正しいセグメントの方法ではないと思っています。

「強く優しい」状態に性教育は連れていってくれる

TE
最初に見せていただいたキャッチコピー「”つよく、やさしい自分”に1cm近づく」が素敵です。「強さと優しさ、どちらも入ってるんだな」と感じたんですが、どういう思いがあるんですか。

鶴田さん
強いことと優しいことは私の中で一緒なんですよ。「強い人は優しい人」だと思っていて、「強くて攻撃的な人」は優しくないし強くない。攻撃的な人を強いというふうに認識されがちだけど、そういう人は弱い人だなと思っています。

「優しくてあまり拒否できない」人は優しくないとも思っています。自分に優しくないし、結局他人にも優しくないんじゃないかと思っています。「強く優しい」という状態が私の中で一番強くて、一番優しい状態なんです。性教育はそういう状態に連れて行ってくれるものだと思います。「知識」がたくさんあることで、そういう状態になっていけると思っています。

TE
「1㎝近づく」は性教育トイレットペーパーからの発想ですか。

鶴田さん
知識は急に「100m進む」ということはないと思っています。特にトイレットペーパーに関しては情報量もそんなに多いわけではないので、日常の中にずっとあることによって、毎日ちょっとずつ変わっていくことをイメージしています。

(※現在、性教育トイレットペーパーは販売しておりません)

TE
トイレにいる時間、少しずつ見ていく。1㎝は「ちょっと」という意味合いですね。プライベートな質問になりますが、鶴田さんご自身が日々大切にしていることはありますか。

鶴田さん
ソウレッジのことやそれ以外もなんですけど「期待していることを言葉で言う」ことです。「言わないと伝わらない」というのが基本的な価値観としてあります。
自分が相手に何を期待していて、相手はソウレッジの中でどんなことを期待されているのかが、言語化されないと伝わらないしわからない。わからないままずっとその人は困っているかもしれないし。

私としてはそういうのをなくしたいので、こういうときにはこうしてほしいということ、たとえば「ミーティングに参加するときはみんな頷きを多くして、笑顔でチャットでたくさん反応してほしい」とかをけっこう言います。
私としては「こうしたらあなたのためになるから」とか「こうするべき」みたいなアドバイスはあまり言いたくなくて、でも「私はこうしてほしいと思ってます」はよく言います。

死ぬことに関して抵抗感がないけれど、生きている間は充実していたい

TE
最後の質問です。これは僧侶が立ち上げたテラエナジーらしい質問で、鶴田さん自身が生まれて、生きて、死んでいくという死生観を教えてください。

鶴田さん
私、けっこう「死んでもいい派」なんですよ。「死にたくない派」もいるじゃないですか。私は特にやることがないなら死んでもいいと思っています。今は生きる理由があるから生きている感じです。

それをパートナーに言うと「やめて」と言われます。「悲しくなるから、死ぬとか言わないで欲しい」と。それが一般的な感覚だと思うんですけど。特に死ぬことに対してそんなに恐怖感がないです。

だけど、「生きている間すごく充実していたい」という気持ちはあります。「すごく楽しく生きて、ばっと死ぬ」がいいです。死ぬことに関して抵抗感はないんですけど、生きている期間がつらいのは嫌だなという感じです。死に至る過程がすごくつらいのは嫌なんです。

生きているべき理由が自分の中であれば生きてたらいいけど、別に死んでもいいじゃんと思っています。友だちが死んだら嫌ですけどね。でもそれは「その子が悲しい思いをずっとしていた」ということが嫌なんです。死ぬこと自体はつらくないんです。だから「どんなことがあっても生き続けろ」とは思っていないです。

TE
ありがとうございました。あなたもソウレッジの活動を一緒に応援して、性暴力のない社会づくりに貢献してみませんか?

団体情報

設立
2019年8月
活動領域
性教育
活動中心地域
全国

電気を切り替えて
この団体を応援する

寄付先団体を選ぶに戻る