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人々が安心して暮らす事ができる脱炭素で持続可能な社会を目指して

認定NPO法人気候ネットワーク
浅岡美恵さん

Activity活動内容

ひとりひとりの行動だけでなく、産業・経済、エネルギー、暮らし、地域等をふくめて社会全体を持続可能に「変える」ために、地球温暖化防止に関わる専門的な政策提言、情報発信とあわせて地域単位での地球温暖化対策モデルづくり、人材の養成・教育等に取り組んでいます。

気候変動問題は、企業や政治だけに任せておけばいい問題ではなく、わたしたち一人ひとりに関わる問題です。
本質的な変革を求める市民がつながり、大きな力になるために、気候ネットワークは役割を果たしていきたいと思っています。

Interview大人たちがつくった環境を、子どもたちが変えようとしてくれている。気候変動に根っこから取り組む・特定非営利活動法人 気候ネットワーク

田浦健朗さん、深水敦子さん
特定非営利活動法人 気候ネットワーク

事務局長の田浦健朗さん・環境教育事業部主任の深水敦子さん:京都市の「こどもエコライフチャレンジ推進事業」で、京都市内の小学校で環境の出前授業を担当。その他、気候キッズセミナーなどこどもに関わる環境教育を企画運営。

特定非営利活動法人 気候ネットワークは、1997年に京都議定書が採択されたCOP3をきっかけに、世界のNGOやNPOと連動し1998年4月19日に設立された市民の立場から温暖化防止に取り組んでいる団体です。地球温暖化防止のため、国際交渉への参加、調査研究・政策提言、キャンペーン、人材養成・ネットワークづくりなど、多岐にわたる活動をしておられます。

今回は、事務局長の田浦健朗さんと、環境教育事業部主任の深水敦子さんに気候ネットワークの活動や環境問題を取り巻く社会の変化についてお話をうかがいました。

ライター:藤井一葉
兵庫生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。
若手僧侶のグループ・ワカゾーで死をカジュアルに語る場「デスカフェ」を提供。これまでに仏教やお寺にご縁のなかった方への情報発信ウェブサイト他力本願.netの企画運営に携わる。
日本茶を淹れたりと本を眺めているとほっとする。仏様のお話をさせていただくことも。TERA Energyでは、メルマガも担当。

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不安をあおることではなく、自分たちが行動していく前向きな希望を伝えたい

ー気候ネットワークでは、どんな活動をされているのですか?

深水さん
気候ネットワークでは、気候変動に関する様々なことに取り組んでいますが、私が主に取り組んでいるのは、2005年より開始した京都市での「こどもエコライフチャレンジ推進事業」です。2010年度からは京都市立全校161の小学校で環境の出前授業を担当したり、気候キッズセミナーなど子どもに関わる環境教育の企画運営をしています。

2005年より始めた小学校へのこどもエコライフチャレンジの出前授業は、事前学習とワークブックの提出、提出したものに対する診断書、振り返りの学習をしています。私たちの授業を聞いて、一方向だけの学びだけではなく、それぞれで考えて実践に繋げてもらえるような授業構成になっています。

気候ネットワーク設立後に、ボランティアが主体となって、学校に行き、クイズなどを交えて学んでいただいた後、地球へのお手紙を書いてもらい、その返事を返す「お手紙ワークショップ」を行っていました。それが「こどもエコライフチャレンジ」事業に進展して、続いてきています。

最近、お寺の掲示板で「和顔愛語(わげんあいご)」という言葉を見つけ、子どもと接する時もそうしたいと話す深水さん

ー10年以上、子どもたちに環境の授業をされて変化などはありますか?

深水さん
10年前は「地球温暖化って知ってる?」と聞くと、「聞いたことある!」という答えだったのですが、ここ数年多くの子どもたちが地球温暖化の原因は、CO2であるということまでしっかり知っていることが多いです。「テレビを消す」「電気の使用量を減らす」や「周りの大人に、環境に良いこと、悪いことを伝えていきたい」と答えてくれる子どもたちもいますね。

また、2018年にスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんのストライキから始まった Fridays For Ftureグローバル気候マーチは、世界的な広がりをみせました。2019年9月のグローバル気候マーチには、760万人以上が参加し、世界最大のムーブメントになり、それ以降に若い方の活動も活発になりましたね。

そんな子どもたちの変化を見て、大人たちが影響を受けていることもあります。子どもたちが学校で環境問題について学ぶことで、環境について話す機会がご家庭で増えた方や、これまで近くの習い事に車で行かれていた方が、自転車に行くようになったと聞きました。

ー子どもたちの力はすごいですね!子どもたちに環境問題について伝える時、大切にしていることはありますか?

深水さん
そうですね。行動に結びつくような内容や声掛けを心がけています。不安をあおるよりも、行動で変えていこう!と前向きな雰囲気で伝えています。深刻さも伝えつつ、「行動を変えれば社会も変わる」と希望も伝えるような感じでしょうか。

こどもエコライフチャレンジの授業風景

ー希望ですか、いいですね。活動をされていて、嬉しかったことや感動したことはありますか?

深水さん
2005年から出前授業を実施し、これまで京都市の児童10万人以上に、環境について伝えることができているのは大きな喜びですね。そこでたくさんの子どもたちにも出会い、元気を私自身がもらいます。本当に嬉しいことです。

ただ、反対に申し訳ない気持ちになったこともありました。以前、オンラインでの気候キッズセミナーの際に、小学生からの質問で、「地球温暖化を止めるために、小学1年生でもできることはなんですか?」と聞かれたことがありました。罪のない子どもたちに責任を追わせるのではなく、私たち大人が具体的に行動していかなければと深く考えさせられましたね。

子どもたちの思いを発信する気候キッズセミナーでは、全国から小中学生が200人程集まりました。そこで、大人たちがつくってしまった環境なのに、それを子どもたちが変えようとしているのを見ると、申し訳なさと共に希望を感じて胸が熱くなりました。

 

「やっとここまできた……」気候変動への社会の変化

インタビュー当日「朝早く起きて、綺麗な月と金星が見えたことが嬉しかった」と日常にある美しさを話してくださった田浦さん

田浦さん
私は、子どもたちだけでなく、大人への研修の機会もあったり、事務所への問い合わせに対応することもあります。そこでの日々の出会いや学び、社会が良い方向に変わったなと感じる瞬間があるのは嬉しいですね。昨年の10月に首相が2050年カーボンゼロ実現の宣言をしたことで、やっとここまできたか……という感じでした。

市民であるNGO/NPOの力は本当に小さいと思っています。それでも、より望ましい社会づくりに着実に貢献できていると日々感じています。

20年以上前から、地球温暖化の脅威について発信していますが、近年やっと多くの市民が気候変動の深刻さに気がついてくれるようになりました。自然エネルギーの電力も20%近くになり、テラエナジーさんのような自然エネルギーを供給する電力会社も増えました。

また、気候変動対策を通じて公正な社会の実現を目指して、国際交渉、国の政策、大きな課題に向き合いながらも、小さいことも大切にしていきたいです。

ー気候変動と公正な社会の実現についてもう少し教えてください。

田浦さん
より公正な社会の実現、気候正義(Climate Justice)とも言いますが、今の社会の構造自体が不公正と言われています。非常に沢山の犠牲の上に成り立つ経済や社会、生活があったり、見えないところで苦しんでいる人も多く存在します。CO2の削減量の話では、発展途上国と経済大国のCO2の排出量の差や、温暖化による飢餓が途上国から始まってしまうことが言われています。気候変動問題は、環境だけでなく、飢餓、貧困、難民になど様々な課題と繋がっています。

そういった根っこのところから、変えていきたいと強く思って活動しています。

 

子どもたちが、学びの場を自分たちで見つけていくこと

ーそういった活動の中で、大変なことはありますか?

田浦さん
市民の立場から社会を変えていく活動は苦労の連続です。気候ネットワークが設立された当初は、事務所を構えているNPOは多くはなかったです。また、日本におけるNPO/NGOの立ち位置もまだまだ、曖昧だと思います。海外では、NPO/NGOの存在は、社会に必要だ、というのが当たり前の考えですが、日本ではなかなかそれが当たり前にならないですね。

しかし、苦労の連続でもありますが、同時にやりがいもとても感じています。

最近特に感動したことは、グレタ・トゥーンベリーさんがたった1人でストライキを始めた活動が世界中の若い人たちに広がったことでしょうか。

若い人たちが、学校を休んでまでも自分たちの権利を守るという思いはすごいですよね。子どもたち自身が、本当に自分たちが学べることや場所を見つけていく過程を見ている感じでしょうか。こういったことをきっかけに本当の意味での勉強や学びが広がってほしいです。

気候変動をきっかけに色んな活動が生まれて、それぞれが社会の一員として役割を見直せるのはいいですよね。

ー最後に最近、関心や興味があることはありますか?

田浦さん
私は、トライアスロンに5年前からはまっています。3つの種目をこなすことは大変だけど、老若男女が一緒にレースに出ているのも良いなと思うし、競い合うと言うよりもそれぞれが自分との戦いをしているのがとても気に入っています。これこそがスポーツの原点なのではないかと思いました。マラソンもですが、自分の体しか使わないので、自分との日々の向き合いですね。毎日の自分と向き合い、小さな変化を感じとるような感覚があります。

ー田浦さんが、日々の出会いや学びを大切にされて活動されている部分とトライアスロンは通ずるものがある気がします。深水さんはいかがですか?

深水さん
私は、最近、なるべく服を買わないように心がけています。テラエナジーの寄付先団体でもある、ヒューマンフォーラムさんの古着についてのイベントに参加した時に「長く着るをトレンドにしたい」と言われていたことが印象に残って、それに共感しています。大学生時代に買った服を、大事にして、娘にも譲っていきたいですね。

19歳の娘が成人式に参加できないので、振り袖だけでも着たいなと話しました。そこで、私が成人式の時に着た振り袖を娘が着て、京都市内で写真の撮影をしました。娘の成長をすごく感じて、感動しました。それと、改めて着物の美しさを感じましたね。着物もそうですが、受け継いだものを次の世代へつないでいくことは大切だなとより実感しました。

ーありがとうございました!気候変動を考える子どもたちの声も聞かせていただき、大人がどのように行動していくかを、改めて考えるインタビューとなりました。気候ネットワークでは、オンラインで子ども・大人対象の環境の活動や専門的な情報も発信されています。環境問題について、気になった方はぜひ気候ネットワークを覗いてみてください。

団体情報

設立
1998年
活動領域
地球温暖化・気候変動問題
活動中心地域
日本全国を対象に活動しています。京都に本部を置き、東京にも事務所があります。

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