Activity活動内容
人と人、人と社会、広島と世界をつなげるソーシャルブックカフェです。
月に30〜40のソーシャルイベントを開催しています。
例:坊主BAR テーマ「正義」、弁護士BAR テーマ「黒い雨訴訟」、マインドフルネスカフェ、絵本が教えてくれる「経済」、ニュースの中の子どもたち〜広島の児童相談所のいま〜、カウンセラーカフェ、セクシャルマイノリティBAR
Interview対話することで、差を埋める
安彦恵里香さん
Social Book Cafe ハチドリ舎
NGOピースボートの勤務地が広島になった事がきっかけとなり退職後に移住。「核廃絶 Yes!キャンペーン 」事務局長。2011年 核兵器について考えるアートブック「NOW!」を制作・発刊。 PROJECT NOW!を立ち上げ、アートイベントを27回開催。キヲクの再生プロジェクトでは100名を超えるアーティストが参加。ひろしまジン大学の授業コーディネーターとして、約20授業を企画。
2015年、広島長崎の平和イベント検索ウェブアプリ「Peace Week Hiroshima Nagasaki」を制作し、テクノロジーの力で社会課題を解決する団体Code for Hiroshima を立ち上げる。ほか、各地での災害発生時に災害ボランティアセンターの本部運営(広島市安佐北区、常総市、広島市安芸区)にも携わる。2017年7月、広島平和公園近くに「社会とつながること」がテーマのSocial Book Cafeハチドリ舎をオープンし、「6のつく日に語り部さんとお話しよう」など、毎月約30の社会派イベントを開催している。「ディスラプター・アウォード・ヒロシマ」「ソーシャルビジネスプランコンテスト」「ヒロシマ平和創造基金国際交流奨励賞」を受賞。NHK中国地方放送番組審議委員。
『Social Book Cafe ハチドリ舎』は、人と人、人と社会、広島と世界をつなげるソーシャルブックカフェです。広島市の平和記念公園から徒歩2分ほどの雑居ビルにあるこのカフェでは、月に30〜40本のソーシャルイベントを開催しており、365日ほぼ毎日何かしらのイベントが開催されています。
イベントは、坊主BAR、カウンセラーカフェ、セクシャルマイノリティBARなど、多岐にわたります。今回、オーナー店主である安彦恵里香さんにハチドリ舎への想いを中心にお話をお伺いしました。
- ライター:南 歩実
- 滋賀県生まれ。京都在住。
大学在学中にフリーペーパーの編集・営業に携わる。卒業後、ディレクターとして、webサイト制作、イベント、交通広告、編集などに携わる。
やる気と元気が取り柄。美味しいご飯と音楽と洋服と柴犬が元気の源。
高校から続けているギターはいつでもそばにいる。
この場所が、自分の居場所にもなっている
ーハチドリ舎では、ものづくりのワークショップやトークイベントを開催されていますよね。最近の活動や新しい取り組みについて教えてください。
安彦さん
コロナウイルスの影響で、オンラインの活動に切り替えました。ハチドリ舎では、ほぼ毎日イベントを開催しているのですが、そのイベントをオンラインとオフラインを同時開催したり。オンラインのイベントを増やしたことで、遠くの人も参加できるようになりましたね。
ー色々と活動の形を変化してきたんですね。その中で気持ちの変化や、今後やりたいことなどはありますか?
安彦さん
そうですね、私は、変えるのではなく、しっかりと続けていくというのを大切にしてるので、「続けること」は意識しています。
今後やりたいこととしては、計り売りのお店や廃棄食材を売るようなことをしたいなと思っています。賞味期限が過ぎていても、消費期限は過ぎてないようなものを売るようなお店とができないかな、と考えていますね。
ー面白いですね!そんな中で、どのような思いを持って活動されていますか?
安彦さん
「居場所」なんですよね、この場所が。自分の居場所にもなってるし、色んな人の居場所になってるなあと思っています。不特定多数の真面目な人や、社会課題に関心を持つ人、楽になれる場を求めてる人の居場所を作りたいという気持ちで活動しています。
ー「居場所」について、もう少し詳しく教えてください。
安彦さん
私はいつもイベントの最初に「真面目なことを話しても引かれない場所が作りたい」と言っているのですけど、これは「自分のために、こういう場所が欲しい」と思って言っています。
私は、温暖化や政治のこと、色んな貧困の問題や差別など、社会で起きてる出来事についてよく話すんですけど、その度にちょっと煙たがられてきたんです。「出た、真面目な話」みたいな雰囲気になることに、ずっと胸を痛めてきました。
なので、そういう話ばっかりする場所があって、そういう話がしたい人とだったら別に煙たがられないんじゃないかなと思い、この場所を作りました。ハチドリ舎は今年の7月で丸4年になるんですけど、同じように思う人がたくさんいるからこそ、続いてきたなって思っています。
イベントも「ハチドリ舎があって良かった」って言ってくれる人たちがすごくたくさん居て。作って良かったなあと思いますし、長く続けたいですね。そして、より多くの人たちの居場所になったらいいなって思います。
ーいつもイベントの企画はどうやって考えているんですか?
安彦さん
その時に話題になっている社会問題の中で、もっと学びたい、深めたいと思う、ものを選んで、講師を探して決めていくスタイルですね。自分たちが興味を持って知りたいことが全部企画になっていくので、無理にイベントを作ってる感じは全然無いですね。ただ、企画を考えるときの、視点と切り口はすごく大事にしています。残念なことでもあるんですけど、社会課題が尽きることはないし、知的探究心が旺盛なので、考えるのはそんなに大変じゃないんですよ。
「やめたほうがいいのかな」と思うことをやめて、自分の気持ちの蓋を取った
ー活動している中で、なにか大変なことはありましたか?
安彦さん
10年以上前のことですが「もうやめた方がいいのかな・・・」って思った時もありました。
核拡散防止条約に、減らすだけでなく無くすという文言を入れる「ヒロシマ・ナガサキ議定書」がつくられ、それをキャンペーンするために絵本を売っていた時がありました。その売上資金で、ヒバクシャの方々と共に自治体首長に賛同署名を集める全国キャラバンしていたとき、本を売れる場所を探したり宣伝に協力してくれる人を求める中で、「広島の外の人が、広島のことを取り扱わないでいいよ」と言われたことがあって。「核廃絶は当たり前に誰の願いでもあるはずなのに何でこんなに伝わらないんだろう」って……。
でも、やめるとかの問題とかじゃなかったんですよ。結局、何度かそういうタイミングはあったんですよ。やめた方がいいんじゃないか、普通に働く方がいいんじゃないかって。でも、あの人が悲しいのは嫌だとか、環境破壊が許せないとか、この人が訳もなく殺されるのは嫌だっていう気持ちって湧き出るものなので、止められないんですよね。だから、この気持を止めるのは無理なんだなって。
ーそっちを諦めたんですね。
安彦さん
やめた方がいいんじゃないかなって思うのをやめました。なんでやりたいことがあるのに言い訳ばっかしてんのかな、と。しょうがないの蓋で、感情を抑えつけるのをやめようと。そしたらすごく楽になりました。
対話することで、当事者と非当事者の距離が縮まる
ー活動の中で大切にしていることはありますか?
安彦さん
「差を埋めること」です。イベントの場は、差を埋めたいという思いでに作っています。例えば、知識を持ってる人と知恵を欲している人を繋いだり、当事者と非当事者が出会う場を作ったり。
それこそ、セクシャルマイノリティの人と出会うことって少ないし、街ですれ違った人に「あの……もしかして……」だなんて尋ねられないじゃないですか。だから「セクシャルマイノリティBAR」というイベントを開催しています。
対話して気づくことによって、差が縮まるんですよ。「出会うと変わる」というか解るというか。それはセクシャルマイノリティだけじゃなくて、障害を持ってる人だったりとか、車椅子の人もそうです。
対話することで距離が縮まる。対話することで、もし電車の中で車椅子の人に会ったら、どんな風に手を貸してあげられるのかが分かるようになります。それってなんだか、日常生活の中で実践される優しさみたいなものが増えてく感じがしていて。優しい社会になっていくんじゃないかなって思います。
循環型のエネルギーシステムが、全世界に広がっていって欲しい
ー最後に、テラエナジーでんきを知ったきっかけを教えてください。
安彦さん
テラエナジーの代表の竹本さんと木本さんがハチドリ舎に来てくださったのがきっかけです。そこで、電力会社をやっているというお話を聞いて。そのお話を聞いたとき、私はもう既に別の再エネ電気を導入していたんですが、うちは動力電源もあって、そちらは契約対象外だったので、一般の電気だけ契約していました。テラエナジーさんは、動力電源も一般の電源も契約できるとのことだったので、一括で同じ所に契約できるなら……とテラエナジー電気に切り替えましたね。
ー今後、テラエナジーに期待したいことはありますか?
安彦さん
先日記事になった、年末年始の電気価格高騰の問題のようなことがあったとしても、構造自体への問題提起をしつつ、再エネをしっかり進めていって、石炭火力、原発、環境を破壊するような、人体に影響のあるような電気の作り方をしない流れを作っていってほしいです。循環型のエネルギーシステムが、これからこの全世界に広がっていって欲しいと思っています。
世界に比べて日本は遅れてるので。そんなすぐにはできるとは思わないんですけど、続けて欲しいなあと思っています。
ーありがとうございました!