fbpx

User's Voice

これまで消費者と呼ばれていた人たちが、
責任ある市民になっていく活動をしていきたい

野村恭彦さん
会社経営・大学教授

Interview応援者さまの声を
お届けいたします

テラエナジーでんきでは、たくさんのユーザーさまが様々な想いを持って応援してくれています。個性豊かなユーザーさまの声をみなさまにお届けいたします。

ライター:藤井 一葉
兵庫生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。 若手僧侶のグループ・ワカゾーで死をカジュアルに語る場「デスカフェ」を提供。これまでに仏教やお寺にご縁のなかった方への情報発信ウェブサイト他力本願.netの企画運営に携わる。 日本茶を淹れたりと本を眺めているとほっとする。仏様のお話をさせていただくことも。TERA Energyでは、メルマガも担当。

テラエナジー(以下 TE)
まずはじめに、自己紹介をお願いします。

野村さん
野村恭彦です。現在は、
Slow Innovation株式会社の代表取締役として会社を経営し、金沢工業大学で教授をしています。

TE
テラエナジーを知ったきっかけを教えて下さい。

野村さん
Slow Innnovationでは、東日本大震災をきっかけに、
「つなげる30人」という、地域のプラットフォームを創造する仕組みを各地で提供しています。この仕組みにより、行政・企業・NPOのセクターの壁を越えて地域を再構築し、街の創造に取り組むプロジェクトが沢山動き出しています。この仕組みの京都版「京都をつなげる30人」に霍野さん(弊社取締役)が参加していたのがテラエナジーを知ることになったきっかけです。

TE
テラエナジーの事を知ったときの印象はどうでしたか?

野村さん
初めて「テラエナジー(TERA Energy)」の名前を聞いた時は、お寺のエナジードリンクの様なイメージで、お寺を元気にする会社という意味かと思いました(笑)。その後、お寺の方たちが電気を売っていること、さらにそれが再生可能エネルギー由来のもので、寄付つきでんきという仕組みでされていることを知り、面白いし、クリエイティブだと思いました。

TE
クリエイティブですか、嬉しいです!野村さんご自身は、電力についてもともと関心があったのでしょうか?

野村さん
いえ、正直なところエネルギーや電気についてよくわからないなと思っていました。再生可能エネルギーを使うことは、地球に良いことなんだろうという抽象的なイメージです。

実際には違いますが、まだまだ再生可能エネルギーを使うのは割高なイメージもあります。世の中が再生可能エネルギーを中心に使おうと言いながらも、なかなかそうならないシステムにも疑問を感じています。エネルギーや電力に関して、日常生活には結びつきにくく、「自分ごと化」にしにくい印象を持っています。

TE
確かに、再生可能エネルギーの価格は安くなっていますが、高いイメージが払拭できていない現状があります。これまで電力事業は国や大企業に任せておくものと言う感覚が強いですが、それを「自分ごとにする」重要性を感じておられるという事なのでしょうか?

今までの社会システムの延長線上に正解はない

野村さん
そうですね。「自分ごとにする」はとても注目しているテーマです。
これまで消費者と呼ばれていた人たちが、消費者ではなく、責任ある市民になっていく活動をしていきたいと思っています。Slow Innovationは、責任ある市民を増やすための具体的なビジネスを創造し育てていく事ができるのかを考えている活動でもあります。

この視点から見た時に、エネルギーの事は、責任ある市民になりにくい、自分ごとになりにくい、と思いました。自宅にソーラーパネルを付けている方でも、社会的な意義をよく理解していない人が多いと思います。電気が余ったら売れるのだと金銭的メリットを感じているだけの人も多いようです。何でもそうですが、お金だけの話になるとおかしな方向に行ってしまいます。

クリストファー・ノーラン監督の映画のような「時間」や「世界観」を考えることが好きだ、と話す野村さん

以前に、オフグリッド(電力会社に頼らず、電力を自分で発電し自給自足すること)の生活をしている知人の家に遊びに行ったことがあります。きれいなお家で、エアコン、冷蔵庫、電子レンジも完備され、普通に生活していました。太陽がさんさんと照っている時は、「今日は電気の大富豪だ!」と言って、エアコンもガンガンに使うのですが、反対に、雨が4日間くらい続くと充電していた電気がなくなってしまい節電に努めるそうです。

オフグリッド生活の感想を尋ねると、「だんだんと太陽と共に生活するようになった」と答えてくれました。日が登ったら目覚め、日が沈んだら眠るようになり、以前と比べてとても健康になったそうです。コレを聞いてすごい素敵だなと思いました。

TE
素敵ですね、私もそんな生活に憧れます。
野村さんはSlow Innovatin株式会社を起業された背景にはどの様な想いがあるのですか?

野村さん
ぼくは20年以上、イノベーション/技術革新に関わる仕事をやってきました。その頃は新商品や新事業などをつくることが、社会を変えることにつながると思っていました。しかし、東日本大震災が起こり、自分の考え方が大きく変えられました。

ある友人が東日本大震災直後に「日本の『成功』の定義が変わるんじゃないか」と言ってくれたことが、今でも心に残っています。その頃から、今までの社会システムの延長線上に正解はない、もう一回ゼロから考え直す必要があると思うようになったのです。

それまでは、社会を豊かにするためには、社会システムをつくるメインストリームとしてのビジネスがあって、その後に取りこぼされたものを非営利的な方法で支えていく、という順番で考えていました。それが、まずは「社会をどうしたいのか?」という問いがあって、それに適った社会システムをゼロからつくり直していくビジネスを考える、という順番に変わりました。こうした視点からビジネスの社会的な価値を問い直すようになりました。

2019年10月の京都をつなげる30人 1期の様子

TE
東日本大震災がきっかけだったのですね。野村さんの考える社会的な価値とは何ですか?

野村さん
難しいですよね。課題解決型のように、マイナスをゼロにすることは比較的やりやすい。反対に、プラスのことについて、いくら私が「これが社会価値だ!」と言っても他の人が同じように思わないかもしれない。

例えば、ぼく自身は仕事と生活が統合されている状態が理想で、日々暮らしていることがそのまま仕事にもなっているのをよしとしています。けど、こうした状態が必ずしも良いと思わない人もいて、仕事とプライベートは完全に分けたいという方もいて当然だと思います。こうした違った価値観を持っている人同士が一緒に居ることができる、多様な価値観を包摂できる社会には価値があると思います。

ひとつのビジョンを掲げてみんなを引っ張っていくと新たなムーブメントを起こしやすいのですが、このやり方では新たな違うシステムを作っているにすぎず、本当の意味での多様性を創出することにはなりません。ぼくのイメージする理想的な多様性は自然界です。

自然界のような多様性の中で社会をつくっていくことができれば良いなと考えています。

一つの答えがあるわけじゃなく、一人ひとりが自分の持っている答えをもっていい。多様なものさしをもっていい、という感覚がいいなと思います。

TE
テラエナジーに期待することはありますか?

野村さん
テラエナジーは、あらゆる角度から包み込む様な温かさがある、と感じています。
エネルギーの問題とNPOの支援、そこにお寺という要素があることで、全人的で精神的な所までを含めた世界観を示していると思います。

ひとつのサービスを効率的に提供するというのではなく、サービスを通じてユーザーに世界観を提供し、主体的に行動していく、ユーザー自身が学んでいくような稀有な存在だと思っています。こんなに面白い会社が京都にあるんだよって、ぜひ紹介していきたいです。ほっと資産団体も、ただの寄付先じゃなくて、アクションパートナーになっていって欲しいです。

ユーザーの声⼀覧に戻る