2024(令和6)年12月3日(火)付の京都新聞に、主催した宗教の社会貢献を考える研修会の様子が掲載されました。
災害時こそよりどころに
中京で研修会 「宗教の社会貢献」
基調講演「能登では支援拠点として機能」
災害が起きた際、寺社は何ができるのか。「宗教の社会貢献」をテーマにした研修会が、京都市中京区の壬生寺で開かれた。能登半島地震後の被災地や京都の実践を通じて、僧侶や行政の関係者ら約20人が、万が一の備えや心構えなどを共有した。
宗教の社会貢献を研究する大阪大の稲場圭信教授が基調講演し、被災地の実例を報告した。今年1月に起きた能登半島地震では、35ほどの寺社や教会が避難所となり、支援活動の拠点としても機能していたことを紹介。「慈悲の心を説く宗教者が、災害時に門戸を閉ざす選択肢はない」とあらためて強調した。
こうした被災地での活動は、日常の備えが基盤になるとした上、水などの物資を備蓄したり、非常時の電源に用いられる蓄電池を設置したりするほか、地域との良好な関係をつくっておくことをポイントに挙げた。地域によっては寺院や神社が新たな避難所に指定されており、宗教施設と行政の連携も広がっているという。
また、京都の事例として、妙福寺(伏見区)の松本現薫住職が自坊の取り組みを説明した。「地域のよりどころ」を目指して、寺が緊急避難所の指定を受けたり、災害発生時に食事を提供できる調理室を設けたりしているという。「寺として慈悲の心を実践する大きな一歩と考えている」と地域のために防災対策を進める理由に触れた。
その後のパネルディスカッションでは、壬生寺の松浦俊昭貫主も登壇し、境内に太陽光パネルを取り付け、防火水槽も備えていると紹介した。「住民が避難してこられたら、お地蔵さんや仏様のおられる寺として心にも寄り添える」と述べ、宗教者ならではの役割も果たせるとした。
研修会は、寺社の脱炭素事業に取り組む会社「TERAEnergy(テラエナジー)」(右京区)が11月5日に催した。同社の起業に関わった僧侶や、環境政策担当の京都市職員も参加し、再生可能エネルギーの普及や市との連携についても語られた。(大西幹子)