2020(令和2)年9月9日(水)付の文化時報に、京都市と弊社が協力して開催した仏教関係者向けの特別研究会「エネルギーから地域の持続可能性を考える」の様子が掲載されました。
気候変動へ対応
仏教界も協力を
京都市呼び掛け、初の研究会
京都市は8月28日、京都経済センター(京都市下京区)で仏教関係者向けの特別研究会「エネルギーから地域の持続可能性を考える」を初めて開催した。講師2人が登壇し、京都で活動する再生エネルギーの事業者2社が事業内容や取り組みを発表。会場で18人、オンラインで35人の仏教関係者が聴講し、再生エネルギー普及の現状や課題を共有した。(磯部五月)
京都市が再生可能エネルギーの普及と啓発活動の一環として企画した。仏教者のリーダーシップや檀家・門徒のネットワークを生かして、再生可能エネルギーについての理解を広めたいとの狙いがある。仏教の教えが2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の理念にかなうものであることにも期待を寄せている。
京都市環境政策局地球温暖化対策室の辻秀起エネルギー政策企画課長は「京都は千年持続してきた都市だが、『気候危機』に直面する中で持続可能な地域を将来世代へ引き継ぐことが難しくなっている。同じ目標に向かって共に行動していただけると心強い」と、仏教界に理解と協力を求めた。
日本気候リーダーズ・パートナーシップ事務局の松尾雄介氏は、超大型台風の頻発や豪雨災害など地球温暖化が原因とみられる異常気象の現状や、日本では温暖化対策が進んでいないことを報告。世界では、気候変動が将来世代への人権問題と捉えられている、とも指摘した。
NPO法人気候ネットワークの豊田陽介上席研究員も登壇し、「再生可能エネルギーの普及は、地球温暖化問題のみならずさまざまな社会課題の解決に貢献する」と述べた。
京都市は自治体や企業、教育機関、医療機関など71団体が加盟し、日本気候リーダーズ・パートナーシップ事務局など4団体で構成する協議会が運営する「再エネ100宣言RE(アールイー)Action」のアンバサダー(大使)を務めている。2050年までに消費電力を全て再生可能エネルギーでまかなうとの目標を設定している。
想像力を持ち、縁起を伝える
事業者を代表し、浄土真宗本願寺派僧侶でTERA Energy株式会社(京都市右京区)の代表取締役を務める竹本了悟氏も講演した。同社は仏教の思想を事業の柱とし、自然由来の再生可能エネルギーを積極的に供給する。
また、売り上げの2.5%を自死や環境、コミュニティーの問題に取り組むNPOなどへの寄付に当てている。2018年に立ち上げ、契約件数は中国、関西、九州、関東で約600件。7月からは徳島県の市民団体あわエナジー(角田鉄人代表)を窓口に四国へ進出し、10月以降に東北、中部、北陸にも展開を予定している。
竹本氏は、空気を汚さず、資源を奪い合わずに作られた電気を選択することが未来を形作る行動だと指摘。その上で「私たちの生活が誰かを傷つけていることに気付いた以上は、そうならないように動くことが宗教者として当然の選択。想像力を持つこと、自分のことは相手のことでもある、という縁起の思想を伝えるのも仏教者の大事な役割」と話した。
参加者からは、「再生可能エネルギーは高額で生活の質を下げるものだと思っていた。認識が間違っていたことを知った」との声や、「電気に限らず、自分の支払ったお金がどこにいくのかを意識しなければならないと感じた」などといった感想が聞かれた。
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仏教教団関係者向け特別研究会「エネルギーから地域の持続可能性を考える」